21世紀も20年以上経過した現在、「デザイン」の語で表される概念は拡張を続け、旧来の「製造業」における「意匠」の範疇には止まらなくなってきている。2022年度より「高等学校学習指導要領」が施行され、「情報Ⅰ」において「情報デザイン」が学習されるようになった。また「プロダクト」の語もtangibleな製品に限らず、ソフトウェアにおいても一般的に使われるようになっている。とはいえ、人間の身体性が全て情報化されるのはまだ先のことであり、現実空間での生活は地球上の物理法則の支配下にある。
一説によれば、「Industrial Design」の語が初めて使われたのは1919年、Joseph Sinel(*1889-†1975)によってだとされ(尤もSinel自身は初めてであることを否定しているようであるし、既に1901年の我が国の東京高等工業学校の英文パンフレットに「Indsutrial Designs」の語の使用が認められる)、通常は「工業デザイン」と訳されている。だが、デザインが重要なのは「工業」だけでなく「産業」全般にとってであることは論を待たない。ここでは、「デザイン」の中でも、機能や情報を人間とのインターフェースとして具体化し製品化する行為を「産業デザイン(industrial design)」として定義する。技術と産業の架橋となり、文化の発展に資する「産業デザイン」を探求するため本研究所(産業デザイン研究所(Research Center for Industrial Design))を設立する。